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自分と折り合いをつけるアプローチ(他人は変えられないが自分は変えることができる)の備忘録

交流分析について、ちゃんと学んだわけではありません。自分が大変困ったときにたまたま出会い、とても助けられる経験をしました。時々、その時に得た知見を人に話す機会があり、そのたびに交流分析の有用性は高いと感じます。 これからも話す機会があると考え、自分が理解している範囲になりますが、交流分析のハイライトを資料としてまとめました。 内容は主に「自分が分かる心理テスト 芦原睦、桂戴著」に基づいて記載しているつもりです。

交流分析というアプローチ

心理療法のひとつに「交流分析」というものがある。交流分析は「他人は変えられないが、自分は変えることができる」としており、自己分析と、その改善について実践的な手法を提案しています。

Wikipedaの交流分析から

  • 交流分析とは人格と個人の成長と変化における体系的な心理療法の理論である。
  • 人格における理論としては、恐らく、P(Parent、親)、A(Adult、成人)、C(Child、子供)というモデルが最も知られており、このモデルは、どのように人々が行動し表現するかということについての理解を容易にしている。
  • コミュニケーションの理論としては、交流分析は、システムと組織の分析における方法にまで及んでいる。
  • 交流分析は、子供の発達における理論も提供している。
  • 交流分析は、「何が問題なのか」「私はどのように人生を過ごせばよいか」といった問題に答えるための、人生脚本という概念を提唱している。(ここで脚本とは、ある一人の人生である。)
  • 交流分析は、幅広い精神病理学の理論をも提供している。脚本は、交流分析によれば、結果というより、むしろ苦悩、強制、自虐的行動、その他精神的障害を証明するのに有効である。
  • 実用的な応用の分野では、様々な精神疾患の診断、治療の治療法として、また、個人、恋人、家族、グループへのセラピーの手法として使われている。
  • 治療以外の分野としては、教育分野での教員のより良いコミュニケーションを図るための手法として、またカウンセリングやコンサルティングの分野、マネージメント分野、コミュニケーションの訓練、その他様々な団体によって用いられている。

出典:ウィキペディアの執筆者,2020,「交流分析」『ウィキペディア日本語版』,(2021年2月22日取得,https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E4%BA%A4%E6%B5%81%E5%88%86%E6%9E%90&oldid=81049417).

性格の基本的な型

交流分析では、人格は、親(Parent )(父親:Critical Parent 母親:Nuturing Parent)、大人(Adulut)、子供(Child)(自由な子供:Free Child/順応した子供/Adopted Child)の5つの人格で構成され、構成によって性格が形成されるとしている。

属性 名称 特徴・傾向
P 父親
Critical Parent
批判的な親の自我状態
高い理想・目標、道徳的、強い倫理観、自分にも他人にも厳格、責任感、リーダーシップ、秩序の維持
頑固、融通が利かない、批判的、支配的、威圧的、厳しすぎる、責任を追及する、独断的、排他的、偏見を持ちやすい
P 母親
Nurturing Parent
養護的な親の自我状態
暖かい、思いやりがある、守ってあげたい、育ててあげたい、他人に尽くす、相手を許容する、同情する
お節介、過干渉、甘やかし、過保護、押しつけがましい、他人の自主性を損なう
A おとな
Adult
大人の自我状態
情報の集積・分析、客観的な評価、事実に基づいた判断、計算・工夫、理性的・合理的、冷静沈着、情に流されない、現実的
冷たい、無味乾燥、人情味に欠ける、人の気持ちより事実を優先、打算的、機械的
C 自由な子供
Free Child
自由奔放な子供の自我状態
自由奔放、明朗快活、多趣味、楽しむことが上手、想像力・空想力、遊び心、ユーモア、好奇心
気まぐれ、わがまま、自己中心的、好き嫌いが激しい、幼い、感情的、傍若無人
C 順応した子供
Adopted Child
順応した子供の自我状態
協調性、従順、慎重、妥協できる
自主性がない、依存的、我慢して敵意を隠す、自責の念を持ちやすい、ひねくれ、反抗

エゴグラムの例

交流分析では、エゴグラムという性格分析を提唱しています。自分自身を知るための、一つの手がかりとして利用できると思います。 これは、筆者の昔のエゴグラムです。

筆者の最初のエゴグラム。人の話を聞く様子が見られない インターネットに無料の診断サイトも用意されていますので、一度試してみると、思わぬ発見があるかもしれません。

バランスを保つためのポイント

交流分析では、PACのバランスが大切との立場をとります。このため、強すぎる個性を補正するため、言葉の使い方を変えることを推奨します。



態度

たくさん使うように心がける言葉
CPを高める方法 自分の考えを主張し、時には批判をしてみせる。
お金や時間にルーズなことをされた場合、その場で指摘してみる。
いったん決めたことは最後までやり遂げる。
~しなければならない
私は~と思います。
NPを高める方法 家族や友人の面倒をよく見る
相手の立場に立って考えてみる
人の長所をほめる
お気持ちはよくわかります
ごくろうさま
すばらしいですね
Aを高める方法 日記など自分の考えを文章化してまとめてみる
感情に流されず、客観的に事案を確認する
結末を予測して状況を把握する
何が問題なのですか
もう少し詳しく説明してください
つまり○○ということですか
FCを高める方法 気持ちを素直に表現する、冗談を言う。笑う。
上手に気分転換をする。芸術・娯楽を楽しみ、自分でも表現してみる。
わーすごい! おいしいね!
すてきだなあ! たのしいね! きれいだ!
ACを高める方法 人が話をしているときは聞く(人の話をさえぎらない)。
話す前に相手の顔色を見る。相手の気持ちや感想を聞く
遠慮、妥協をしてみる。
こんなことを言ってもいいでしょうか
気を悪くしませんでしたか
だいじょうぶですか
すみません

出典:交流分析と深層心理学 JDP(日本深層心理研究会)

自我状態の特質

態度 言葉 動作
支配的な親
(CP)
規則を厳守する
批判的でうるさい
保守的で厳格
正義感が強い
道徳観がある
こうあるべきではないか
~するのが当然である
理屈を言うな
~しなければならない
いう通りにしなさい
しかめっ面をする
人差し指で刺す
威厳を示す態度
腕組みをする
見下すような姿勢
恩に着せるように
権威的に
はなをならす
怒鳴る
うんざりするような
養育的な親
(NP)
養育的で優しい
人の世話を焼く
人の話をよく聞く
愛情が細やか
同情してくれる
なぐさめる言葉
楽にする言葉
元気づける言葉
なんとかしてあげよう
よくできた、よしよし
手をさしのべる
ほほえむ
抱きしめる
頭をなでる
握手する
心を配った
やさしい
いたわるように
あたたかく
愛情豊かに
成人
(A)
状況を把握する
計画的に進める
準備万端である
理論的である
合理的である
君の考えはどうか
私の考えでは~
建設的な言い方
適切な言葉
確認する言葉
状況をわきまえる
よく観察する
情報をよく集める
思慮深く冷静に
背筋を伸ばして
落ち着いた声で
明瞭に
冷静な声で
その場にふさわしく
適切なあいづち
自由な
子供
(FC)
明るく楽しい
直観を働かせる
思いつきがよい
アイディアがでる
自発的で行動的
それはおもしろそうだ
それはいい、すぐやろう
いい方法がひらめいた
あなたが好きだ
やったやった、でかした
ふざける
満面な笑み
うきうきした
天真爛漫に
喜怒哀楽が激しい
明るく朗らかに
楽しそうに
声を張り上げて
のびのびとした
口をとがらせて
順応した
子供
(AC)
献身的に働く
依存心が強い
消極的である
気配りをよくする
他人に順応する
我慢の反動がある
お世辞を言う
言われたようにします
素直にしたがう
あいづちをうつ
どうせ私なんか
反抗的な言葉
ふくれっ面をする
人の顔色を読む
うなだれる
伏し目がちになる
遠慮がちに
気遣って
ひかえめに
おどおどした
上目づかいに
じれたように
小さな声で弱気に
遠回しに

出典:交流分析と深層心理学 JDP(日本深層心理研究会)

むかつく会話の背景を探る

交流分析では、それぞれの立ち位置がP/A/Cのどころにあるかを重要視します。ぞれぞれの立ち位置が交差しなければ、スムースな会話になるのですが、立ち位置が交差すると、むかつく会話になるとしています。

基本的な型

親分・子分の会話では、P <-> Cの会話になっているので、原則的にもめない会話になります。 プロ対プロのケースでは、A <-> A の会話になるため、これも(その後はともかく)原則的にはもめない会話となります。

もめるケース

もめるケースをとされているのは、たとえば上から目線対上から目線というような、いわばマウントを取り合うようなケースが相当します。 このような会話になった場合、A<->A の会話になるように心がけることが推奨されています。

影のコミュニケーション(上司・部下型)

交流分析では「影のコミュニケーション」という概念があります。当然ですが、このケースも望ましいこみゅんケーションは取れません。図にシチュエーションを記載していますが、形式的には会話が成り立っているけれど、本心では会話が交差しているというような例です。

影のコミュニケーション(プロ対プロ)

プロ目線に対する上から目線は、仕事として適切な発言をしたのに、「お前に言われる筋合いははない」、と応えるようなケースももめるケースです。

人生の型:自分の心の背後にあるもの

周りにもやたらと怒りっぽかったり、妙に楽天的でいられる人がいると思います。この構えの背景には、「人生の型」があるとしています。自分(I)と、自分以外(You)に対して、それぞれOKかNGかの組み合わせで表しています。「所詮僕なんか」というのがI am NGで、「いつも周りに邪魔される」というのが、You are NGです。 一覧にすると、表のようになります。

I am You are
OK OK 私にも、周りの人にも、みんないいところがある。
「円満パターン」で、対人ストレスが最も少ない
OK NG 私はいつも正しいのだ、周りの人はダメ。
逆N字型(ドナルドダック型)のエゴグラム
自己主張がテーマ。疑い深く、自分と波長の合わないものはすべて排除。罵倒や責任転換 「信じる者は自分ひとり」。ひとのいうことを聞かないため、ストレス病になった時に治りにくい
NG OK 周りの人は優れているのに、私だけがダメ。
献身パターンのエゴグラム
献身的な反面、劣等感を持ち自分を卑下することが多い。 独立心や自己主張に乏しく、他人に利用されやすい。親密な関係を恐れ、憂鬱になることもある
NG NG 私もだめだし、世の中も間違っている。
厭世的。V型(葛藤型・ハムレット型)のエゴグラム
自己矛盾を感じ、自信を喪失しやすい。人生は価値がなく、絶望的。 他人との交流を避け、自分の殻に閉じこもる傾向

I am NGの背景にある 12の禁止令

I am NGの背景には、これまで生きてきた中での禁止令があるとしています。

  • 存在してはいけない
  • 男の子(女の子)であってはいけない
  • 子供であってはいけない
  • 成長してはいけない
  • 成功してはいけない -何もしてはいけない
  • 重要な人になってはいけない
  • 所属してはいけない
  • 愛してはいけない、信用してはいけない
  • 健康であってはいけない、正気であってはいけない
  • 考えてはいけない
  • 自然に感じてはいけない

ストローク理論:人はストロークを求める動物である

交流分析では 「ストローク=人の存在を認めるための1単位」とされており、人間はストロークを集める動物と定義しています。例えば、あいさつや、握手、などが正のストローク、怒られる、いやな顔をされるなどが、負のストロークとされています。条件付きのストロークは、「テストで100点をとった」などの、本人そのもではなく、何らかの条件を満たしたことに対するストロークです。 SNSの「いいね!」やコメントを思い浮かべるとわかりやすいかもしれません。

ストロークの分類

ストロークの法則

人間は、ストロークを集める動物としていますが、ストロークに対して次のような法則があります。

出典:「自分が分かる心理テスト」芦原睦、桂戴 作 ISBN-13: 978-4061329218

ゲーム分析(なんでこうなっちゃうんだ!?)

いつも同じパターンで“ぶち壊し”になる状況のことを「ゲーム」と呼んでいます。 交流パターンの分析で紹介した「裏面的交流」が、ある特定のきっかけによって何度も繰り返されるという特徴があり、相手を怒らせたり、悲しませたりすることで歪んだストロークを得ようとするところから始まります。

息子「肉がない!こんなもの食べられるか!」
母親「だったら食べるな!作ったものに文句をつけるなら出て行け!」
・・「なにを!!」「ドシャン、ガシャン、バタン」。。

実は息子はお肉が食べたくて怒っている訳ではないのです。不本意ながらも初めから怒鳴られることを目的にゲームを仕掛けていて、母親も結果が分かっていながらゲームに乗っています。

出典:交流分析とは?エゴグラムから人生脚本まで分かりやすく解説

時間の構造化

日々の生活の中でどれくらいのストロークを得ているのかは、状態によって異なります。不足しているストロークを補う目的で、何らかのイベントに参加したり、井戸端会議で時間をつぶしたりします。 また、陰性のストロークを集めるゲームを繰り返し行うことも、正のストロークが足りていないためと考えられています。

状態/行為 ストローク
閉鎖(引きこもり) なし
儀式(集団参加) 最低限
雑談(ひまつぶし) +α
活動 確実(危険)
ゲーム 陰性
親密(隠されたメッセージのない状態) 濃厚

シナリオ分析

交流分析では、自分の中に「シナリオ」が作られていると考えます。不幸なシナリオの場合、シナリオを明らかにし、これを書き換えることで人生を変えることができるとしています。

  • あなたの人生ドラマはいつ始まりましたか。   年 月 日
  • あなたの人生の「タイトル」はなんでしょうか
  • そのドラマのメインテーマはなんですか
  • そのドラマは「喜劇」ですか、「悲劇」ですか。大体どんなお話でしょうか。たとえば「立身出世物語」であるとか、「お涙ちょうだいの人情もの」でしょうか。あるいは「愛と苦悩の日々」とか「絶望に打ちひしがれるストーリー」なのでしょうか。
  • あなたの知っている昔話、物語、映画や演劇のストーリーで類似したものはありますか。また自分の人生はどのようなドラマでありたいですか。
  • そのドラマはあなたの親が書いたものですか。それともある時点から自分自身が書いたものでしょうか。自分自身でシナリオを書きはじめたのはいつごろからでしょうか。
  • そのドラマの主人公(つまりあなたなのですが)は最後には死ぬわけですが、どんな死に方をするのでしょうか。
  • 結局そのドラマの主人公は勝者だったのでしょうか。敗者だったのでしょうか。言い換えると、幸せだったのでしょうか。不幸だったのでしょうか。

リファレンス

‐「自分が分かる心理テスト」芦原睦、桂戴 作 ISBN-13: 978-4061329218 - 交流分析とは?エゴグラムから人生脚本まで分かりやすく解説 - ウィキペディアの執筆者,2020,「交流分析」『ウィキペディア日本語版』,(2021年2月22日取得,https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E4%BA%A4%E6%B5%81%E5%88%86%E6%9E%90&oldid=81049417).

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